監査法人の非監査領域である「アドバイザリー」とは?
~領域ごとの特徴とキャリアの可能性を解説~
Big4監査法人を中心に、近年急速にビジネス規模を拡大しているのが「アドバイザリー領域(非監査業務)」です。このビジネスの伸びに対して意外と認知度が高まっていないのもアドバイザリー領域の特徴かもしれません。
しかし現在、このアドバイザリー領域の市場は年々拡大しており、公認会計士の方はもちろん、一般事業会社の経理部門、リスク管理部門、情報システム部門、ESG・サステナビリティ部門、何にはSE経験者やビッグデータ、生成AI等に詳しい人など多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっており、今後も積極的な採用が見込まれることから是非チェックしておきたい領域と言えます。
本記事では、監査法人のアドバイザリー領域の概要から、会計人材が強みを活かして活躍できる領域、そして監査業務との違いなどを解説します。
主要なアドバイザリー領域
大手監査法人(Big4等)における主要なアドバイザリー領域は、大きく以下の4つに分類されます。各法人とも概ね同様のサービス展開を行っています。
- 会計・財務領域
- サステナビリティ・ESG領域
- システムリスク・サイバーセキュリティ領域
- GRC領域(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)
監査法人発祥のサービスという特性上、基本のスタンスは「リスクを可視化し、それをどのようにコントロールするか」というアプローチを取ることが一般的です。
また、近年、クライアントが抱える課題は複雑化、かつグローバル化していることから、単に「リスク・アセスメント実施~レポート納品をして完了」ではなく、クライアントの現場業務がスムーズに回るように具体的な業務プロセスの整備まで伴走型で支援するようなビジネスへと発展しています。
会計バックグラウンドの方が活躍しやすい領域
監査法人のアドバイザリー領域の中でも、公認会計士や経理・財務の実務経験者の知見がダイレクトに活きるのが会計系アドバイザリーです。以前はIFRS導入支援などの「制度会計対応」が中心でしたが、現在はクライアントのニーズも多様化していることから、その支援領域が広がっている状況です。
主な支援テーマの例
- 経理業務のDX化支援 / 決算早期化支援
- M&Aに伴う難易度の高い会計処理・PMI支援
- 国内外のIPO(新規上場)準備支援
- 会計×ESGレポーティング支援 ※非財務情報の開示義務化に伴い急速に拡大
これらのプロジェクトでは、対面するクライアントの担当部門が経理財務部や経営企画部など、普段から会計監査人がやり取りしている部門が多くなる傾向にあります。そのため、公認会計士が持つ高度な専門知識や内部統制の考え方等をスムーズに転用できる可能性が高いとも言われています。また、IT・デジタル領域へ専門性をシフトする方や、内部監査・GRC領域の専門性を深掘りする方など、会計以外の領域へフィールドを広げて活躍する方も増えています。
監査業務とアドバイザリー業務の違い
「監査」から「アドバイザリー」へのキャリアチェンジを検討するにあたり、押さえておきたい違いを「仕事内容」「働き方」「キャリア」の3つの観点から整理します。
1. 仕事の内容とクライアントとの関わり方
- 会計監査: 監査マニュアルに沿って網羅的に実態を把握し、決算処理や内部統制プロセスの妥当性を評価し調書作成をしていきます。基本的には年単位の長期的・継続的(リカーリング)な契約形態となります。
- アドバイザリー: クライアントが抱える「特定の問題・事象」や「自社だけでは解決が難しい課題」にフォーカスしてスポットで支援をしていきます。案件ごとに求められるテーマや支援する範囲が異なる点が特徴です。
2. 働き方
会計監査業務は3月決算期(4月~5月)に業務が集中し、大量のデータ突合やヒアリング、調書作成などで最繁忙期の負荷が特に大きくなるといった傾向があります。
一方、アドバイザリー業務は決算期を跨ぐプロジェクトや、単発・短期、または部分的な支援を求められるプロジェクトも少なくありません。また、あくまで課題を解決することが目的ということで、必要に応じて成果物の納品日をクライアントと相談し調整することも可能です。そのため年間を通じた繁閑の差や日常的な働き方は監査と比較して穏やかだと言われています。
3. キャリア構築の幅
会計監査とは違い、アドバイザリーでは様々なサービスを展開しているため、会計士にとっても柔軟なキャリア形成がしやすい環境と言えます。
例えば「IFRS関連のアドバイザリー」を軸にしつつも、M&Aにまつわる高度な会計処理、ESG開示、資金管理(トレジャリー)といった隣接領域へテーマを広げていくことが可能です。1つの領域に縛られず、コンサルタントとしての汎用的な課題解決力を磨きながら、市場価値を高めやすい環境と言えます。
おわりに
監査法人のアドバイザリー領域は、培ってきた会計・実務知識をベースにしながら、クライアントの成長や変革にダイレクトに関われる非常に魅力的なフィールドです。
なお、所属する監査法人やチームによって「アサインの方針」「対応可能な案件の幅」「関与できる業界やテーマ」などは異なります。
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