総合系コンサルティングファームにおける会計士の採用ニーズとトレンド
監査法人での監査経験を活かして次のステップへ進みたい、と考えた際、公認会計士のキャリアとしてはFAS(M&Aや事業再生等)やPEファンド、事業会社の経理財務、税理士法人など複数の選択肢が考えられます。
しかし現在、売り手市場にある公認会計士にとって、Big4をはじめとする総合系・IT系コンサルティングファームもまた、自身の専門性を拡大できる非常に魅力的なキャリアの選択肢となっています。
こちらでは、コンサルファームで会計士の需要が拡大している背景や具体的な担当領域、監査法人との働き方の違い、選考や転職後に評価されるポイントについて解説します。
1. 公認会計士がコンサルファームで活躍できる2つの担当領域
総合コンサルティングファームの組織は、主に「ソリューション(機能)」と「インダストリー(業界)」のマトリクス構造になっています。会計士のバックグラウンドを特に活かしやすいのは以下の2領域です。
① ソリューション領域:CFOアドバイザリー / 経理財務変革(FT)
CFO組織の意思決定支援、グループ管理会計制度の構築、シェアードサービスセンター(SSC)化支援、ERP(SAP等)導入に伴う会計要件定義・業務プロセス刷新などを担います。
単に「会計ルールを知っている」だけでなく、「現場の取引や仕訳データが、最終的にB/SやP/Lにどう反映されるか」という業務プロセス全体の構造を理解している点が、コンサルタントとしての大きなアドバンテージとなります。
② インダストリー領域:金融コンサルティング
銀行・証券・保険・アセットマネジメントなどの金融機関を対象に、国際会計基準(IFRS)対応、自己資本比率規制(バーゼル等)の法理対応、金融コアシステム刷新時の会計要件定義などを提供します。
難解な金融会計や規制に精通した人材(主に金融部・FS出身者等)は市場での希少性が極めて高く、高い専門性を発揮できる領域です。
2. コンサル業界全体で高まる会計士の採用ニーズ
Big4コンサルティングファーム(Deloitte、PwC、EY、KPMG)だけでなく、業界全体で多様なファームが会計士の採用を強化しています。
外資系IT/総合系ファーム: 大規模なDX案件や経理財務変革案件が急増しており、会計の基礎体力に加え、IT領域へ適応できるポテンシャル人材として会計士を積極採用しています。
日系大手の総合コンサルファーム: 自社が得意とする基幹システム(ERP)構築において、システムと経理現場の双方のロジックを理解して「会計要件定義」を行える要員として高く評価しています。
金融系総合シンクタンク・ブティック系: 金融機関向けコンサル、全社リスク管理(GRC)領域、M&A後の業務統合(PMI)などで、会計士の高度な分析力と信頼性を重宝しています。
なぜ「IT系コンサル」でも会計士が重宝されるのか?
IT系コンサルには、システム構築(How)を得意とするエンジニアやITコンサルタントが多数在籍しています。しかし、彼らが「その設計で決算や監査に耐えられるか」「CFOや経理部長が抱える悩みの本質は何か」まで理解しているケースは多くありません。
「システムの仕様を組む人」と「顧客の経営・経理層」の間に入り、ビジネスプロセスと仕訳のつながりを正しく通訳(要件定義)できる素地を持つ存在として、会計士はIT系ファームでも重宝されています。
3. 監査法人との大きな違い:「マルチアサイン」から「シングルアサイン」へ
転職した会計士が最も大きな変化を感じるのが、働き方(アサイン形式)とクライアントとの距離感の違いです。
監査法人:複数案件を並行する「マルチアサイン」
監査法人では、同時期に3〜5社ほどのクライアントを平行して担当する「マルチアサイン」が一般的です。独立した「第三者」という立場から、決算やレビューのタイミングで定期的に訪問・点検し、会計基準への適合度(守り)をチェックします。
コンサルファーム:1案件に専従する「シングルアサイン」
一方、コンサルティングファームでは原則として1つのプロジェクトに専念する「シングルアサイン」が主流です。クライアントの現場に入り込み、顧客の社員と同じチームの一員として課題解決や仕組み作り(攻め)に挑みます。
複数案件を掛け持つマルチタスクの切り替え負荷が減る一方、コンサルでは「1つのプロジェクトに対する成果へのプレッシャーや時間的密度」が格段に高まります。「クライアントと同じ船に乗って泥臭く変革をやり遂げる」という当事者意識と伴走感こそが、コンサルでの大きなやりがいとなります。
4. コンサル未経験・IT未経験の会計士が評価されるポイント
売り手市場であるとはいえ、選考や転職後の立ち上がりにおいて特に重視されるのは以下の3点です。
会計士としての確固たる専門性(ベーススキル)
仕訳・決算・内部統制など、監査経験で培った基礎体力がしっかりしているか。
課題を構造化する論理的思考力
「なぜその問題が起きているのか」「どう分解して解決すべきか」を論理的に組み立てられるか。
未経験領域(IT・PMO等)に対するキャッチアップ力とキャパシティ
IT用語やプロジェクト管理(PMO)、スライド作成技術など、監査法人時代には使わなかったスキルを素早く吸収・適応する柔軟性とタフさがあるか。
「監査員(チェックする人)」としての思考から脱却し、「クライアントの成果にコミットするコンサルタント」としての主体性を示せるかが重要となります。
5. まとめ
公認会計士という強固な専門性をベースにしながら「IT・業務改革・プロジェクトマネジメント」といった掛け算のスキルを獲得し、クライアントの変革に深く伴走できる「総合コンサルティングファーム」も非常にやりがいのある魅力的な選択肢です。
ちなみに、コンサルティングファームごとに組織構造や求める人物像、さらには選考プロセス(ケース面接の有無や形式など)も異なります。ご自身のバックグラウンドや志向性に合わせた具体的な求人情報や、選考対策の詳細について知りたい方は、ぜひ弊社の担当コンサルタントまでお気軽にお問合せください。