大手・中堅・小規模会計事務所の違いとは?
業務内容・年収・働き方・向いている人を解説
~事務所の規模が仕事内容や税理士のキャリアに与える影響~
全国には約3万の会計事務所が存在し、その約9割が10名以下の小規模事務所と言われています。
一方でBIG4税理士法人や国内大手税理士法人では1000名を超える組織もあり、同じ会計事務所でも仕事内容やキャリア形成は大きく異なります。
本記事では未経験から会計事務所を目指す方やBIG4への転職を希望する方、将来独立を考えている方などに向け、会計事務所・税理士法人の規模による違いを解説していきます。
会計事務所業界について
会計事務所と一口に言っても人数・売上規模や提供するサービスについては千差万別です。
規模の違いを説明する上でまずは大中小の定義を明確にします。
【大規模事務所(以下「大手」)】
BIG4税理士法人や、国内で1,000名を超える人員を擁する大手税理士法人など。
大企業や上場企業、外資系企業などを対象とした税務サービスを提供し、業務領域やクライアント属性ごとに専門部門を設けているケースが多く見られます。
【中規模事務所(以下「準大手・中堅」)】
おおむね50名以上1,000名未満の中堅・準大手税理士法人、会計事務所。
社労士事務所やコンサルなど他士業サービスも含め、総合的な支援を行っていることも多く、提供する業務の幅広さが特徴です。
【小規模事務所(以下「町事務所、ブティック」)】
おおむね50名未満の税理士法人、会計事務所。
代表税理士の個人名を冠した事務所も多く、地域の中小企業や個人事業主に対し、税務・会計サービスを幅広く提供しています。
なお、小規模事務所の中には、BIG4や大手税理士法人出身者などが中心となり、国際税務、M&A、組織再編、資産税などの特定領域に専門特化した「ブティックファーム」もあります。※本記事では、必要に応じて一般的な町事務所と分けて説明します。
顧問先のイメージ
【大手】
上場企業、大企業グループ、外資系企業、金融機関、投資ファンドなど、規模が大きく、税務上の論点が複雑なクライアントを担当するケースが多くなります。
部門によっては、オーナー企業や富裕層・超富裕層に対する事業承継、資産承継サービスも提供しています。
【準大手・中堅】
上場企業や上場準備企業、中堅・中小企業、オーナー企業など、幅広い規模・属性のクライアントを支援します。
一般的な法人税務に加え、医療、資産税、事業承継、国際税務など、特定の顧客層や業務領域に強みを持つ事務所もあります。
【町事務所】
地域の中小企業、個人事業主、オーナー経営者などが主なクライアントです。
法人・個人の申告業務だけでなく、経営者と直接やり取りしながら、日常的な経理・税務相談や資金繰り支援などを行うケースも多くあります。
【ブティックファーム】
事務所の専門領域によって顧客層は異なります。上場企業や上場準備企業、外資系企業、ファンド、富裕層、オーナー企業などを対象に、特定分野の高度なサービスを提供する事務所もあります。
提供する業務や仕事の進め方の違い
【大手】
国際税務、移転価格、M&A・組織再編税制、税務デューデリジェンス、税法や判例を踏まえた税務アドバイザリー、連結納税・グループ通算制度、大企業グループの税務申告、事業承継など、専門性の高いサービスを提供します。
業務領域やクライアント属性ごとに部門が分かれ、案件をチームで進めるケースが多い点も特徴です。
特にBIG4では、スタッフ、シニア、マネージャー、ディレクター、パートナーなど、職位に応じて期待される役割が比較的明確に分かれています。
【準大手・ブティック】
法人・個人の税務申告を中心としながら、国際税務、事業承継、相続、M&A、組織再編など、専門性の高い業務を幅広く扱う事務所もあります。
個人担当制を基本としつつ、大規模案件や複雑な案件では、複数名によるチーム体制を採るケースもあります。
また、記帳代行、月次決算、年次決算などの会計業務を含め、クライアントの会計・税務領域を一貫して支援することもあります
【町事務所】
中小企業や個人事業主を対象に、記帳代行、月次・年次決算、法人税・所得税・消費税などの申告書作成、年末調整、給与計算、資金繰り相談などを幅広く担当します。
個人担当制を採用している事務所が多く、担当者が20~30社程度を受け持ち、経営者や経理担当者と直接やり取りしながら支援するケースがあります。ただし、担当件数や分業体制は事務所によって大きく異なります。
給与水準・働き方
※資格や経験年数による幅有り。
※残業代を含めた想定年収イメージ。
【大手】
スタッフからマネージャークラスでは、おおむね年収500万~1,200万円程度が一つの目安です。ディレクターなどの上位職では、1,200万~1,500万円以上となるケースもあります。パートナーの報酬体系は一般従業員と異なり、法人や個人の実績によって大きく変動します。
フレックスタイム制やリモートワークなどの制度が整備されている法人が多い一方、繁忙期や担当案件によっては長時間労働となることがあります。
【準大手・中堅、ブティック】
おおむね年収400万~1,000万円程度が中心ですが、専門性の高い経験やマネジメント経験を持つ場合には、それを上回ることもあります。
働き方に関する制度の整備状況は事務所によって異なります。
【町事務所】
おおむね年収350万~700万円程度が中心ですが、税理士資格、顧客開拓力、マネジメント経験などによっては、800万~1,000万円以上となるケースもあります。
残業時間や柔軟な働き方への対応は、事務所による差が大きい領域です。制度化はされていなくても、税理士試験の勉強や家庭事情に個別対応する事務所がある一方、代表者の方針や繁忙状況の影響を受けやすい点には注意が必要です。
求められる経験・資格など
※あくまで傾向となります。
【大手】
ポジションによって異なりますが、次のような要素を総合的に評価される傾向があります。
・税理士、公認会計士、税理士試験科目合格などの資格
・英語をはじめとする語学力
・上場企業、大企業、外資系企業などに対する税務・会計経験
・国際税務、M&A、組織再編などの専門経験
・学歴を含む基礎能力やポテンシャル(高学歴であることがプラスに働く場合はあるが必須ではない)
※概ね税理士科目3科目以上合格であれば他の条件はそこまで加味されずに書類選考通過となるケースも多々あります。
【準大手・中堅、ブティック】
・税理士、科目合格(経験によっては簿記2級も可)
・税務会計経験(中小企業向けのみでも可)
【町事務所】
・未経験可の事務所もある(経験者歓迎)
・簿記2級程度の知識
・顧客と継続的な関係を築くコミュニケーション力
規模ごとに向いている人と注意したいポイント
【大手】
<向いている人>
・特定の税務領域で専門性を高めたい
・社会的、経済的な影響の大きい案件に携わりたい
・英語を使用する業務や国際案件に携わりたい
・チームで大規模な案件を進めたい
・職位や評価制度が比較的明確な組織で働きたい
<注意したいポイント>
・経営者と日常的に直接やり取りする機会は、部門や職位によって限られる
・繁忙期や大型案件では業務負荷が高くなることがある
・組織上の役割や品質管理手続に沿って仕事を進める必要がある
【準大手】
<向いている人>
・専門性と業務範囲の広さを両立したい
・上場企業から中小企業まで、さまざまな顧客を経験したい
・経営者と関わりながら、一定規模の案件にも携わりたい
<注意したいポイント>
・事務所ごとに得意領域や組織体制が大きく異なる
・担当業務が広くなり、特定領域の専門性を深めにくい場合がある
・制度の整備度合いと現場運用に差があることも多い
・繁忙期の働き方や担当件数を個別に確認する必要がある
【町事務所】
<向いている人>
・中小企業や経営者を身近な立場で支援したい
・税務申告、会計、顧客対応を幅広く経験したい
・未経験から会計事務所での実務経験を積みたい
・税理士試験と仕事を両立したい
<注意したいポイント>
・教育体制、業務分担、評価制度は事務所による差が大きい
・代表者の考え方が、仕事内容や職場環境に反映されやすい
・担当件数が多い場合、繁忙期の業務負荷が高くなる
・高度な専門案件や大企業向け税務を経験できる機会は限られる場合がある
まとめ
ここまで解説してきたように、規模によって顧客層、業務内容、仕事の進め方、年収水準、教育体制、求められる経験などが大きく異なります。
ただし、単純に「大手の方が優れている」「小規模事務所の方が働きやすい」と判断できるものではありません。専門性を高めたいのか、幅広い実務を経験したいのか、経営者に近い立場で働きたいのか、将来的に独立したいのかによって、適した環境は変わります。
また、同程度の規模であっても、得意とする税務領域、顧客層、担当者の業務範囲、教育体制、評価制度、働き方は事務所ごとに異なります。そのため、転職先を検討する際には、事務所の規模だけ判断せず、実際に担当する業務や組織体制まで確認することが重要です。
弊社では、BIG4税理士法人、国内大手・中堅税理士法人、専門特化型のブティックファーム、地域密着型の会計事務所まで、幅広い転職支援を行っています。
求人票に記載された条件だけでなく、事務所ごとの組織体制、担当業務、顧客層、教育体制、繁忙期の働き方なども踏まえ、ご希望や今後のキャリアに適した求人をご提案します。
会計事務所への転職を検討されている方や、どの規模の事務所が自分に合うのか迷われている方は、お気軽に弊社コンサルタントへご相談ください。